超高濃度ビタミンC点滴

超高濃度ビタミンCとは?

超高濃度ビタミンC点滴とは、1回に12.5g~100gのビタミンCを点滴によって摂取する治療です。超高濃度ビタミンC点滴療法はもともと、アメリカでがん治療の民間療法のひとつとして開発されたといわれています。ビタミンCが持つ高い抗酸化力により免疫を活性化し、がんに対抗しようとするものです。その他にも、ビタミンCには美容に良いとされるさまざまな作用があり、超高濃度ビタミンC点滴を美容目的で利用する方も多くなりました。

私たちの体内には食事から摂取したビタミンCが存在しますが、その濃度はわずかに0.6〜1.7mg/dl(100ml)程度と言われています。ある実験で0.2gのビタミンCを口から摂取した後の血中濃度を測ったところ1.2mg/dLでしたが、その6倍である1.2gを経口摂取しても、血中濃度は1.5mg/dlLまでしか上昇しなかったという研究結果報告されています。口から食事として摂取されるビタミンCの血中濃度の上昇はほんのわずかであるということです。しかも、ビタミンCは水溶性なので、余剰分は尿として排出されてしまうという特徴を持っています。

静脈内に直接ビタミンCを点滴で大量に投与すると、経口摂取の数十倍の量が血管内に行き渡り、短時間で全身に運ばれます。その結果、経口摂取とは異なる次元で細胞活性化が進み、より高いレベルでの美白、美肌、アンチエイジング効果が期待できます。

効能・効果

コラーゲンの生成を促進

ビタミンCは繊維芽細胞の働きを高め、コラーゲンの生成を促進する作用があります。コラーゲンは健康な皮膚や血管、筋肉、骨などを作るのに必要で、このコラーゲン生成を促進することで、肌のハリや弾力を保つことができます。

メラニンの生成を抑制

肌は紫外線を浴びると活性酸素が発生し、肌を守るためにメラニンが生成されますが、このメラニンがシミの元になってしまいます。ビタミンCはこのシミの原因となるメラニンの生成を抑制し、還元(美白)させる働きがあるので、シミを予防し美白に役立ちます。

抗酸化作用で肌を保護

ビタミンCは老化や生活習慣病などを誘発する活性酸素を、抗酸化作用で無毒化する機能を持っています。活性酸素から肌を守り、皮脂の分泌を抑制してニキビの予防や肌荒れ改善などに作用します。

免疫力の向上で健康力アップ

ビタミンCはリンパ球の活動を活性化し、抗ウイルス作用を持つインターフェロンの増加を促します。その結果、インフルエンザなどの感染症から身を守り、健康な体づくりをサポートします。

疲労回復やアンチエイジングに

私たちの体は酸素を取り入れてエネルギーを作りますが、その過程で酸素の一部が酸化力の強い活性酸素に変化します。この活性酸素が増えすぎると、血管や細胞を傷つけあらゆる病気を引き起こします。しかし、ビタミンCはこの活性酸素を抑える強い抗酸化作用を持ち、活性酸素の暴走を阻止するため、疲労回復やアンチエイジングなどを実現します。

正常細胞に害を与えず、がん細胞だけを殺す?

2005年9月、権威ある科学雑誌である『米国科学アカデミー紀要』に、ビタミンC点滴療法の画期的な研究論文が発表されました。

この論文は、米国国立衛生研究所(NIH)、米国国立がん研究所(NCI)、米国食品医薬品局(FDA)、アイオワ大学フリーラジカル・放射線研究部門に所属する8名のドクターや科学者が行ったもので、「ビタミンCは正常な細胞に影響を与えず、がん細胞だけを殺す、副作用のほとんどない理想的な抗がん剤である」という驚くべき内容のものでした。

論文の証拠となった実験は、人間にビタミンCを静脈から点滴したときと同じ状態を、試験管内で再現して行われました。

通常、人間のビタミンC血中濃度は0.1ミリモル(血中濃度を示す単位)ですが、超高濃度ビタミンCを点滴すると0.3~20ミリモルまで上昇します。この際重要なことは、ビタミンCを点滴注射で血液中に送り込むという事です。多量のビタミンCを口から接種しても、血中濃度は0.22ミリモルを超えることはありません。

第一の実験は、9種類のがん細胞と、4種類の正常細胞をビタミンCの入った試験管内に1時間さらし、24時間後の結果を見たものです。

結果、5ミリモル以下のビタミンC濃度で、9種類のがん細胞のうち、5種類が50%死滅、その他4種類のうち、3種類のがん細胞はその増殖が99%抑えられました。驚くことに、正常細胞には全く影響がありませんでした。

第二の実験はビタミンCのがん細胞死に与える影響をより詳しく検証したものです。人間のリンパ腫細胞(がん細胞)を、0.1~5ミリモルの間の8段階濃度の中にそれぞれ1時間さらした結果、濃度が2ミリモル以上になるとがん細胞が100%死滅することが確認されました。

なぜビタミンCでがん細胞が死滅するのか?

超高濃度ビタミンCを血液中に点滴すると、ビタミンCは血管の外にしみ出していきます。がん細胞は栄養となる糖を積極的に細胞内に取り込もうとしますが、ビタミンCはこの糖と非常に良く似た構造をしています。そのため、がん細胞はビタミンCを糖と勘違いして細胞内に取り込もうとするのですが、この過程でビタミンCが酸化され活性酸素(非常に攻撃力の強い酸素)の一種である”過酸化水素”が発生します。この過酸化水素ががん細胞を破壊、殺してしまうのです。

ではなぜ、正常細胞は破壊されないのでしょうか。

ビタミンCは酸化により過酸化水素という毒素と、酸化型アスコルビン酸という細胞の免疫力を高める物質に変化します。正常細胞の周囲では、ビタミンCが過酸化水素を発生させても、細胞内にある”カタラーゼ”という酵素により除去され、無害化されます。そして酸化型アスコルビン酸だけを取り込み、免疫力を強化していきます。しかし、がん細胞には毒素を無害化するカタラーゼ酵素がほとんどありません。そのため、過酸化水素という毒素に殺されてしまうのです。

つまり、「副作用が非常に少ない安全な抗がん剤」と言えるでしょう。

どのようながんに効果があるのか?

これまでの研究や報告から、多くのがんに効果があることがわかっています。

  • 脳腫瘍
  • 肺がん
  • 胃がん
  • 大腸がん
  • すい臓がん
  • 肝臓がん
  • 膀胱がん
  • 腎臓がん
  • 乳がん
  • 前立腺がん
  • 卵巣がん
  • 子宮がん
  • 悪性リンパ腫
  • 白血病
  • その他多くのがん

手術、抗がん剤、放射線治療が有効ながんの場合は、まずそちらを優先しますが、超高濃度ビタミンC点滴は副作用が非常に少ない安全な治療法であり、併用もおすすめします。

ただし、抗がん剤(メソトレキセート[Methotrexate]、ベルケイド[Vercade])を現在投与されて治療中の方は、超高濃度ビタミンC点滴療法をお受け頂けません。

超高濃度ビタミンC点滴療法は、同じ部位のがんでもその効果には個人差があります。またがんの縮小効果だけでなく、生活の質(QOL)の改善や延命、標準的ながん治療の副作用症状の軽減など、がんの補助療法としても用いることができます。

参考文献
高濃度ビタミンC点滴療法のがん患者QOLに及ぼす効果
Takahashi H et al. Psersonalized Medicine Universe 2012;1:49-53

25g以上の場合には、事前検査が必要です

G6PD検査

G6PDは赤血球の機能を保つための酵素です。G6PD欠損症は日本人には稀な遺伝性疾患ですが、日常の生活に支障がないために、これまで注目されませんでした。しかし、遺伝性G6PD欠損症の方に大量のビタミンC(12.5g超)の点滴をすると、重症の溶血性貧血を起こすことがあります。このような合併症を防ぐために、超高濃度ビタミンC点滴を受ける前は必ずG6PDの検査をし、安全に治療が受けられるかを判断します。

副作用と注意事項

超高濃度ビタミンC点滴療法で有名な米国・国際人間機能改善センター(The Center for the Improvement of Human Functioning International)では、これまでの15年間に3万件以上の超高濃度ビタミンC点滴療法を実施しています。このクリニックでは副作用によって死亡に至った例はありません。実際には殆ど副作用のない安全な治療だと言えます。

以下の症状がある方にはお勧めできません。

  • 胸水・腹水・リンパ浮腫のある方
  • 糖尿病でインシュリン注射を行っていらっしゃる方
  • 頭蓋内腫瘍のある方
  • 腎臓機能の低い方、現在透析治療中の方
  • 脱水症状の方
  • 病状が極端に悪化している方
  • 活動型心不全のある方
  • 現在抗がん剤(メソトレキセート、ベルケイド)を投与されて治療中の方

料金

MYLAN社製注射用ビタミンC製剤

超高濃度ビタミンC料金(税込)
12.5 g11,000円
25 g22,000円
50 g44,000円
75 g66,000円